フェローMAX"SS"解説

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自動車工学1970年9月号に掲載されたフェローMAX"SS"解説です。画像認識でデジタルテキスト化しているため、誤字脱字はご了承ください。


フェローMAX"SS"

SS用ZM5型エンジンは標準型ZM4型をベースに、掃気ポート系の改良、三国製アマル型ツイン・キャプレータの採用、排気系統の改良、
抵抗器つき点火コイルの採用などで高出力化が図られた。標準型と同様にリードバルプつきで、低回転時の実用性も高い。

〔掃気ポート〕排気ポート面積を大きくして高速化を図るとともに、シリンダとピストンに新設計の掃気ポートが設けられた。
ピストンが下降すると、従来の掃気作用にプラスして新設掃気ポートが作用し、充てん効率を増大させる。
これにより3500-4500rpm付近の中速時のトルクが向上している。
燃焼客容積は18.9ccで圧縮比は11(有効圧縮比7.3)。標準型は同21.8cc。

〔吸排系〕標準型の吸気マニホールドに相当する吸気ポートは、管長を短かくして吸気系の脈動を防ぎ、アクセル・レスポンスの向上が図られた。
排気マニホールドは排気集合部に整流板を新設、リアシリンダからの排気の流れを円滑化、また出口寸法を大きくし、
管長を標準型より約30mm短かくしてディフューザ効果を助けている。
ディフューザ(排気拡散部)も改良(長さを短かく、入口寸法を大きく出口寸法を小さく)。


← "SS"のエンジン構造と掃気ポート(矢印)が新設されたビストンとシリンダ。気化器の取付け関係に注意

〔気化器〕写真右と下図参照。横型通風式ア型(三国製VM24SH)を斜め取付け。
この気化器の特長はコンパクトなこととSU型のようにエンジン負荷に応じる可変べンチュリ式であること。
チョーク系統は、ブランジャ式スタータ方式でチョークバルプはない
(標準型の下向通風型気化器も、三国製はスタータ方式、日立製はチョーク、バルブ式である)。
燃料ポンプは標準型と同じクランクケース内の圧力変動で作動するダイアフラム式で、取付けがタテ位置である(上図)。

〔車体〕写真上はスバルR2と並べて…。砲弾型フェンダミラーはどちらも普通車以上に大型で視界は十分。
外観は“ SS "のマークのほか、ほぼ"バーソナル”(標準33PSエンジン付)に準じるが、車高は10mm低くなっている。
タイヤは標準セダンと同じだが、1万円高のオプションでラジアル型がつく(135SR10)。車両重量は465kgで、他のMAXシリーズと変わらない。

〔駆動系統〕クラッチ、変連機デフ等はすべて標準車と共通でギア比も同一であるが、高性能エンジンのため、各ギアの車連に伸びがあり、加速力が強い。

〔足まわり〕40PSの高性能エンジンとともに、この車の大きな特長は、強化されたサスペンション。基本は標準車と同一で前輪ストラット型、
後輪セミトレーリングアーム型の、全輪コイル、バネ独立式で、特に追加された機構はないが、バネとショックアプソーバが右表のように変更され、
低い車高と併せて操向安定性は一段と高められている。一方、強化された足まわりのため、乗心地はシリーズ他モデルにくらべて、
少し固めである(タイヤは標準車と同じだが、空気圧の指定は高い)。

ステアリング機構(ラック・ピニオン式)、プレーキ(前後とも2リーディング、シュー型)の仕様は標準車とすべて共通標準車と同様、
FF車特有のクセ(コーナリング時などのパワーオン、パワーオフ時における方向性不安定現象)は少ない。


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