アナログビデオのデジタル化
アナログビデオ(8mmビデオ(Hi8)/VHS)をダビングします。
うちのビデオ資産というのはかなり少ない方で、家族の内容を記録した8mmビデオテープが10本ほど、TV番組を録画した3倍ノーマルVHSが数本。
TV番組のVHSのうち、デジタル化が必須(DVD化などがされていない)な内容のテープは2本。
ビデオのデジタル化に際しての大きな問題は、どのような機材を使うかです。
画質面と金銭的な要求レベルを低く(=妥協)すれば、8mmビデオカメラ/デッキの出力をこんなのとか、こんなの、
こんなの(またはこれらの3流パクリ品)で記録する手もあります。
しかし。いくらビデオに記録されている内容がアナログで低画質なものであっても、受け側まで低画質なメディアにする必要はないのでは?と思ったり。
現実的なセンで行くならば、送り側を8mmなりVHSの「まともな」デッキを使用して、「MPEG2(MPEG4)でHDDに保存」「DV方式でテープに記録」でしょう。
ちなみに、よくある「DVDへの保存」は個人的にはあり得ないと思っています。(他人に強制するわけではないけど)
DVDというのは最大ビットレートがMPEG2で9.8Mbpsしかありません。DV方式でも25Mbpsあるので、送り側にいい機材を使って、15〜25Mbpsくらいでの記録が
ベターないしベストかなと思います。
さて具体的に送り側では、数少ない8mmビデオデッキ。SONY製ではEV-BS3000、EV-NS9000など。東芝製ではE-800BS、700BSなどを使います。
SONY製のデッキには、テープの映像の縦揺れを補正するTBC(タイムベースコレクタ)機能があり、NS9000には輝度・色信号のノイズリダクション機能もあります。
(ちなみに、EV-BS3000、BS2000や、E-800BS、700BSなどはスイッチング電源のコンデンサが液漏れして、電源が入らなくなります。要注意。)
その他、業務用の8mmビデオデッキ(EVOシリーズ)というのも存在します。「業務用は酷使されているため、民生用の方がマシ」という意見もあります。
現実的にはEVO-9800、9800A、9850の中から選ぶことになると思いますが、9800はS映像出力がなくAFM音声がモノラル、9800AはAFMモノラルなので、
ビデオカメラでAFMステレオ録音されたテープならEVO-9850以外は選択肢から外れます。
映像についての個人的な感想としては、業務用は解像感で勝るものの、ノイズもそれなりに目立ち、民生用はその逆の印象です。
ドロップアウト補償回路(DOC・機種によって詳細方式違う)を搭載しているのが民生用との大きな違いです。
VHS(S-VHS)とのWビデオ機という選択肢も存在しますが、あれは止めた方が良いです。
NS9000などとメカが共通のようですが、回路は別物らしく、8mmビデオデッキで一番画質が悪い気がします。
Wビデオ機種を買うくらいなら、Digital8方式(アナログと互換あり)のカメラの方が遥かに画質が良いのではないかと思います。
受け側では、IOデータのGV-MVP/RX3、それの画質進化版(らしい)GV-MVP/GX2とか。
キャプチャーにこだわる人は、Blackmagic DesignのDeckLinkシリーズとか。
ただ、現行のDeckLinkシリーズは4Kのキャプチャーに対応していて値段が高いので、ほとんどSD映像であるアナログビデオのキャプチャーには、旧型のHD Extremeとかで十分です。
あとはAJAのKiProシリーズやATOMOS SHOGUNシリーズなども存在しますが、いずれも4K対応の最新機種である必要はないので旧型を中古で買いましょう。
長くなりましたが、ここからは管理者の機材選択。
送り側ビデオデッキ:EVO-9850(SONY) or E-800BS(東芝)
タイムベースコレクタ:FS-2500(IMAGENICS)
受け側レコーダー:KiPro Mini(AJA)
EVO-9850はTBC、DNRを装備していますが、DNRは今回は使用しません。別途用意します。
そして民生用と決定的に違うのが、ドロップアウト補償回路(DOC)を装備していること。テープによってはかなり改善されます。
ただ、テープに折れやしわが連続的に入っている録画状態が悪いテープにはDOCは逆効果(再生画像が見にくくなる)なので、
その場合は、もう1台所有している民生用のE-800BSを使用する予定です。
作業していて気づいたのは、テープ先頭から映像が記録されている場合、Uローディングの業務用(とEV-S900?)ではローディングでテープを引き出す量が多いため、
先頭から10〜15秒の映像は再生することができません。カメラをはじめ一般的なMローディング機でテープ先頭から録画されたテープは注意が必要です。
(レアケースかもしれませんが、当方所有の映像資産では半分以上この状態でした。先頭をE-800BSで補う必要があります。)
次に、受け側のレコーダーとの間にかませるTBCです。イメージニクスのFS-2500を用意しました。
このTBCは5段階の3Dノイズリダクション機能があり、92年頃の性能のEVO-9850のDNRよりも優秀です。
これを使い、EVO-9850から出力されたS映像信号を業務用のコンポーネントデジタル信号(D1-SDI)に変換します。
FS-2500の3D NRの設定は色々試しましたが、ノイズの抑制には5段階中レベル2くらいが効果的かなと思いました。
レベルを上げ過ぎると、ノイズの減少とともにせっかくの映像の解像感が失われていき、映像の動きがやや不自然に感じました。
(もう1つ、Blackmagic Designのアナログ信号をSDIに変換するMini Converterも持っています。この機材の処理性能はなんと12Bitで、
SDIで出力できる機材としては最高峰だったりします。しかし、Y/C入力は別々にBNCで入力する必要があり使っていません。コンバーターなのでNRもありません。)
可能ならば、さらに高性能な朋栄の放送用TBC、FA-9100や9500を使いたいところですが妥協しています。
受け側レコーダーはGV-MVP/RX3を使っていた時期もありましたが、映像によってはブロックノイズが気になるシーンがあり、現在はKiProを使用しています。
KiPro Miniを使って、FS-2500からのD1-SDI信号とEVO-9850からのアナログ音声を直接入力し、記録します。
KiPro Miniでは各メーカー最速クラスのCFカードを使って、Apple ProRes もしくは Avid DNxHDで記録します。
明らかにオーバースペックですが、今回はApple ProRes422(HQじゃない方)を使用しました。入力は525iで映像ビットレートは最大で40Mbpsのようです。
KiProのCFカードのフォーマット形式はMacintoshなので本来Windowsでは読めないのですが、MacフォーマットのメディアをWindowsでも認識させる
フリーソフトというのが存在し、それを使用しました。あとはDaVinci Resolveとかで編集しようかと思っています。
一時期はDVW-A500を使ってテープにダビングなんてことも考えていましたが、メディアコストなどを考えてKiProにダビングしました。
<2021年3月6日 画像追加>