レストア後のエンジン不調(セカンドオピニオン)

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2021年秋から冬ごろ、某京都のS商会のレストア以降、冷間・温間始動性の悪化、異常なほどの低速トルクの抜けなどに苦しんでいました。
毎回始動時にエアクリーナーにパーツクリーナーやカセットコンロのブタンガスを吸い込ませて始動させたり、
以前は自宅近くの40mで勾配8%くらいの坂を2速で上れていたのが、1速でギリギリ、エンジンが温まってないと1速でも上り切れない状態に。

さすがに何とかしたいと思い、近場で2ストエンジン車を見てもらえそうなショップを探したところ、自宅から10kmほどの場所にあるショップを見つけました。

問い合わせ時のメールでは、

  • 始動性の悪化は燃料が薄いのではないか
  • パーツクリーナーで初爆のきっかけさえあれば回るなら、エンジンのコンプレッション不足の可能性も
  • 現車を見せてくれれば詳しく見積り出す
  • とのことでした。

    その後日程の打ち合わせを行い、年明け2022年1月中旬、修理のため入庫しました。

    結果、S藤商会での整備はかなりいい加減なものだったことが判明しました。


    まず、オーバーホールされたはずのキャブレターには汚れが大量に付着しており、ジェットニードルにも付着物が付いていました。


    キャブとエアクリーナーの接続部分のゴムは崩壊したまま塗装されていました。ここから2次エアも吸っていたようでした。


    また、チョーク用の燃料を吸い出す棒状の部品(エマルジョンチューブ?)にクラックが入っていましたが、まったくそのような説明は受けていませんでした。
    その他ガスケットの作り直しやキャブレター左右のスロットルのバランスも同調が取れていない状態でした。


    極めつけは、燃料ホースの中から出てきたブラストのメディア。よく半年間エンジンが無事だったなぁと思います。
    S商会の請求書によるとキャブレターのオーバーホールは4万円と計上されているので、機能が復活すれば見えないところは手を抜く、そんなOHで4万円です。


    エンジン関連で言うと、シリンダーヘッド側の水周りのニップルが崩壊寸前で冷却水漏れを起こしていて、クーラントの蒸発した水分がデスビキャップ内に付着していました。
    点火時期も指定からかなり早くなっており、「よくピストンが割れたり溶けたりしなかった」と言われました。
    (内燃機屋に芯出しを出すよう頼んだのは当方のため、これは外注先のIボーリングでズレた可能性あり。最終的に組んだのはS商会ですが)

    エンジンの圧縮圧力も1番シリンダーが8kg/cm2、2番が7.2kg/cm2で、排ガス規制車のZM-13型エンジンの圧縮圧力基準値は資料がなく分かりませんが、
    規制前ハードトップのシングルキャブZM-8型およびツインキャブZM-5/9型の圧縮圧力基準値と下限値は以下の通りでした。

    エンジン型式 圧縮圧力基準値
    kg/cm2 / rpm
    圧縮圧力下限値
    kg/cm2 / rpm
    ZM-8型 9.7/500 6.8/500
    ZM-5/9型 10.3/500 7.2/500
    このエンジンは排ガス規制後のZM-13型エンジンのキャブレターをツインにした仕様ですが、2番シリンダーがZM-5/9型の圧縮圧力下限値ですね。

    (S商会では、これらの数値が記載されたサービスデータのCD-ROMを車両に入れて引き渡しましたが、使用した形跡はなかったので、「そういうこと」なのだと思います。)

    ついでにクーラントも「水のように薄かった」とのことで交換されていました。

    また、入庫してエンジン音を聞くなり、「ピストンが首降ってる音がする」と言われました。エンジンを開けていないため定かではありませんが、
    先の点火時期の問題と、S商会では、私がドナーで持ってきたエンジンはシリンダーに焼き付きの跡があり、状態が悪いという理由で使用せず、
    車両に搭載されていたエンジンを組み直しているので気づいているだろうに、一言言ってくれればいいのにとは思います。


    最終的にキャブ本体は綺麗になり、狂っていた左右のバランスも調整され、エンジンは水漏れ修理、点火時期調整、ガスケット作り直しなどで20万円ほど掛かりましたが、
    坂道も2速で上れるようになり、かなり調子が戻ったので満足でした。(冷間始動の悪さは加速ポンプがないことが原因と分かり、あまり改善しなかった)

    そして、S商会の整備のいい加減さと「見えない部分はとことん手を抜く(割に工賃安くもない)」やり方であることが判明したのでした。